Date:2020/12
Location:product
Category:小屋
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「机の上の小さな物置」
物を仕舞う小屋がある。
趣味の物や季節品やたまに使う生活品
それらを仕舞いこめるよう、相応しいいサイズで建てられる。
仕舞われる物というのは、個々に時間の差はあれど再び、使う事を前提としている。
物を仕舞う小屋とは、その時が来るまで物が眠る空間と言えるのかもしれない。
人の手で小屋の外に出された時、眠っていた物が目を覚ますような感覚。
そう考えていくと、物にも愛着が強くなっていき
「それぞれの物にとってもっと相応しい場所を考えてもよいのではないか」
こんな事を考えるようになった。
身近な物でいうと、今まさに手にしているペンなどの文房具はどうだろう。
この文房具と小屋のスケールをFIXさせていく事で、小さな可能性を模索する事にした。
まず、マテリアルは木製ではなくコンクリートとした。
木製だと確実に施工性は良い。
施工性が良いということは、再現性が良く何度でも同じものを作れる。
しかし、彼ら(文房具)にはそれは相応しくないと感じた。
彼らは世界で一つだけの僕だけの物なのだから。
コンクリートでの施工に際し、いくつものモックアップを作成した。
その結果、7mmの厚さが構造的に最小だと分かった。
予想通り、文房具サイズだと施工性はかなり悪く、実験のたびに仕上げムラが出た。
しかし、断熱性能や仕上げの綺麗さを求められないこの建築では、むしろ有機的なものにも感じられる凹凸はそのままこの建築の個性として現れると考えた。
そうして獲得した実験結果と、構造としてのギリギリの寸法と相談しながら
ペンや付箋やホチキス、それらの居場所を作るように形を設計していった。
マテリアルとの対話を繰り返していった結果
わずか0.01㎡の世界で一番小さくて可愛らしい ”文房具の為の小屋” を作り上げる事が出来たと考えている。