籠屋の住居

Date:Unbuild

Location:愛知県一宮市

Category:住宅

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構造/木造2階建
敷地面積/190.324㎡
建築面積/1階 52.998㎡ 2階 42.233㎡
延床面積 95.231㎡

 

住宅街における外部との距離感と繋がり

 

愛知県一宮市の分譲地の一角における住宅計画
クライアントは2人の小さな子供をもつ子育て世代である。
ただ、一般的サラリーマン家庭と違うのは、主人が単身赴任の多い仕事についているという点。

 

北側接道で東面は小さなアパート、南面に畑、西面はこの土地と同じデベロッパーによる分譲地という敷地条件。
西面にはおそらくこの土地と同時期に新築の住宅が建つとこは間違いなかった。

 

分譲地中心の住宅街ではよくあることだが、

こういった敷地はいざ住み始めると、隣地との距離が近く、プライバシーが気になり住みにくい環境となってしまう事が多々ある。
そんな土地を、デベロッパーが利益を上げるために土地を切り売りしている。

 

そういった条件の中でクライアントから「とにかく全体が明るいLDKにしたい」という要望があった。
通説でプランニングしていけば
“南側にLDKを配置”
”吹き抜けも南側に設けてとにかく明るく”

 

しかし、クライアントの要望を深く読み解いていくと、それは最適解ではないと考えた。
まず、南面一統に頼った採光計画というのは1日・1年という時間の中で、大きな要素ではあるが決して安定したものではない。
南側に吹き抜け=大きな明かりを設けると、反対の北側は明度対比の効果が働いて通常より暗く感じてしまう。
それにこの細長い敷地に建てるという事はおのずと細長い住宅にならざるを得ない。
つまりLDKの北側には吹き抜けの明かりは届かない。

それと、ワンオペを想定したプランを必要とされた。

 

その点に留意して実際に敷地に立ち、プランニングに取り掛かることとした。
まず、敷地のなかで西面のアパートと住宅の間に小さな隙間のようなスペースを発見した。
それと、南側からの採光をスタディして、キッチンの配置を決め、
キッチンを中心として諸室を配置していく事とした

 

採光としては、吹き抜けの位置自体を改めて考慮して計画する。
キッチンから吹き抜けを通して、明かりと子供の気配を感じられるようにしたい。
そこから空を感じられるようなプランである。
分譲住宅街の中での外部との繋がりを感じる拠り所として空(自然)を選択した。

 

また、細長くなる建築の中で開放感を得るために、吹き抜けに段差を計画した。
そしてLDKの中心に吹き抜けを設け、その上部周辺にスタディコーナー等を設ける事で子供が2Fにいても気配を感じられる。

 

断面での小さな仕掛けを作り、外部との心地よい繋がりや距離感を生み出す事が出来るのである。